黒い汚れに驚いて、獣医さんに聞いた話

モルモットの耳を、じっと見たことはありますか。
うちには2匹います。ルルとごまお。毎日さわっているのに、耳の中まで見たことは、しばらくありませんでした。
今年の前半に一度だけ、拭いてみたことがあります。そのときに出てきた黒い汚れに、わたしはけっこう驚きました。
先に書いておきます。うちは今、耳掃除をしていません。
この記事は4つに分かれています。何も知らなかったころのわたし。かかりつけの先生に聞いたこと。海外の獣医さんが書いていること。そして、うちが今どうしているか。
1. 飼い主として思っていたこと

一度だけ、拭いてみた
体拭き用のウェットシートで顔のまわりを拭いていて、ふと「耳はどうなんだろう」と思ったんです。そのまま、耳のあたりを軽く拭いてみました。
深く考えてはいません。ついで、くらいの気持ちでした。
黒い汚れがついて、びっくりした
シートに、黒い汚れがけっこうつきました。
想像していたより多くて、「え、こんなに汚れてたの」と思いました。毎日いっしょにいるのに気づいていなかった、という気まずさもありました。
このまま放っておいていいんだろうか。でも、どこまで掃除していいのかも分かりません。綿棒を入れるのは、なんとなく怖い。
判断がつかなかったので、その日はそれ以上さわりませんでした。
そのとき、なんとなく思っていたこと
頭の中にあったのは2つです。どちらも、なんとなくそう感じていただけで、調べたわけではありません。
ひとつめ。世話をやりすぎると、動物の本能がだんだん失われていくんじゃないか。
ふたつめ。匂いが消えたら、動物自身が不安になるんじゃないか。
だから、あまり手を出したくない。そういう気持ちでした。
この2つが当たっていたかどうかは、あとで書きます。
2. かかりつけの先生に聞いてみた
半年健診のついでに、そのまま聞いてみました。
返ってきたのは、「無理してやらなくていい」。
それだけでした。うちの先生は、あまり詳しく解説をするタイプではありません。理由は聞けずじまいです。
拍子抜けもしました。もっと「ちゃんと掃除してあげてください」と言われると思っていたので。
これは、うちの子を実際に見たうえで、うちのかかりつけの先生が言ったことです。すべてのモルモットに当てはまる話ではありません。それでも、わたしにとっては大きな一言でした。
それ以来、耳掃除は一切していません。
自分でも調べてみた
理由が気になって、日本語で調べました。
動物病院の解説に、耳あかの色の話がありました。黒っぽい耳あかや、ドロドロした黄色い耳あかは、ダニや細菌の感染の恐れがある。モルモットにはミミヒゼンダニという耳のダニが寄生することがあって、それで外耳炎になる場合もある。
なるほど、と思いました。ただ、「なぜ掃除しなくていいのか」の説明には、たどり着けませんでした。
モルモットは、犬や猫にくらべると飼っている人がずっと少ない動物です。資料の数も、まだこれからなのだと思います。
せっかくなので、英語の資料まで広げてみることにしました。
3. 英語の資料には、理由が書いてあった
なぜ掃除しなくていいのか
まず出てきたのは、耳の形の話でした。
モルモットの耳の穴は、まっすぐ下に降りたあと、鋭く曲がって横に進み、その奥に鼓膜があります。曲がった先は、外から見えません。綿棒のようなものを入れると、取ろうとしたものを、見えない場所に押し固めてしまうそうです。
そしてもうひとつ、知らなかったことがありました。
モルモットの耳は、自分で掃除をしています。
耳の中の皮膚が、内側から外側へ向かって、少しずつ動いているのだそうです。ベルトコンベアのように。その上に乗ったゴミや古い耳あかは、放っておいても勝手に外へ運び出されます。
だから綿棒で掃除をすると、運び出す仕組みそのものを壊してしまう。かえって耳の炎症を招くことがある、と書かれていました。
読んで、やっと腑に落ちました。先生が「やらなくていい」と言ったのは、こういうことだったのかと。

使ってはいけないものがあった
これは知らなくて、少し怖くなりました。
犬用・猫用・人用の耳の洗浄剤を、モルモットに使わないこと。
理由は、成分でした。犬猫用の洗浄剤には、汚れを溶かすための薬剤が入っています。鼓膜にすでに小さな穴が開いていると、その薬剤が奥まで届いてしまう。そして届いた先の細胞は、壊れると元に戻りません。
結果として起きるのが、首が傾いたまま戻らなくなることです。ぐるぐる回るようになることもある。
ここがいちばん驚いたところでした。首が傾く症状は、ふつう「感染症のせい」と説明されます。でも、飼い主がよかれと思ってやった耳掃除が原因になることもある、と書かれていました。
家にある犬用のものを、とりあえず使ってみる。ありえたと思います。聞いておいてよかった。
黒い汚れは、素人には見分けられない
色については、もうひとつ注意が書かれていました。
毛色の濃い子の耳の中の色素を、汚れと決めつけないこと。黒く見えても、それがその子の地の色であることがあるそうです。
見分ける手がかりも書かれていました。かゆがっているかどうか。色素なら、かゆみもフケも出ません。ダニや真菌なら、強くかゆがって、脱毛やかさぶたを伴います。
ただ、それでも素人には判断がつきません。だからうちは、先生に見てもらいました。「黒かったけど大丈夫でした」で終わらせなかったことが、たぶんいちばん大事だったと思います。
もうひとつ、ほっとしたことがあります。耳の穴の中は掃除しなくていいけれど、外側のヒダについた汚れを優しく拭くのは、問題ないそうです。わたしがあのときやったのは、そこでした。
わたしの思い込みは、当たっていたのか
最初に書いた2つを、調べてみました。
ひとつめ「世話をやりすぎると本能が失われる」は、根拠が見つかりませんでした。
耳掃除やお風呂で本能が失われる、という話は出てきません。やらないほうがいいのは本当でしたが、理由は本能ではなく、いま書いた「物理的に危ないから」でした。結論は合っていて、理由が違っていたことになります。
ふたつめ「匂いが消えると不安になる」は、思っていたより当たっていました。
モルモットは匂いから、たくさんのことを読み取ります。誰がいるのか、群れの匂いはどれか、相手の健康や年齢まで。視覚よりも、匂いのほうを信じている動物です。
そして、こう書かれている資料がありました。1匹だけお風呂に入れてケージに戻すと、残っていた子が「知らない子が入ってきた」と受け取ることがある。そこから本気の喧嘩になることがある、と。
正直、ここは怖くなりました。
ただ、この件だけは、わたしも言い切れません。「洗っても分からなくなることはない」と書いてある資料もあって、意見が分かれています。確かなのは「喧嘩になることがある」というところまでだと思います。
それでも、なんとなく感じていたことが的外れではなかったのは、少しうれしかったです。
先生は、合っていました
ひととおり読んで、いちばんに思ったのはこれでした。
かかりつけの先生の「無理してやらなくていい」は、合っていた。理由を言わなかっただけです。
診察は短い時間です。そのあいだに、耳の穴の構造から洗浄剤の話まで説明していたら、いくら時間があっても足りません。結論だけを渡してくれていたんだなと、あとから分かりました。
理由のほうは、自分で探せばいい。そう思えるようになりました。
こうなったら、すぐ病院へ
受診の目安として書かれていたものを並べます。
その日のうちに連れていくもの
頭をかたむける。ぐるぐる回る。横に倒れる。目が速く揺れる。耳にさわると明らかに痛がる。膿が見える、嫌なにおいがする。
数日のうちに予約するもの
耳のふちがかさかさしている、もろい、かさぶたになっている。耳をしきりにかく。
うちはまだ、どれにも当たっていません。もし当たったら、自分で判断せずに病院へ行きます。
4. それで、うちは今こうしています
モルモットは自分で自分をきれいにする生きものだから、困っていなさそうなら手を出さない。
お風呂も入れていません。そこに耳掃除も加わった、という感じです。
根拠は、毎日見ている光景です。ルルもごまおも、後ろ足で耳の中をかいて、そのあと足の爪を口できれいにしています。よく見ます。ものすごく真剣な顔でやっています。
掃除はしないけれど、見てはいます
「やらない」と「見ない」は、別ものです。
さわらずにできる確認は、ちゃんとあります。耳たぶをそっと前に折って、明るいところで入り口だけ見る。左右のにおいを比べる。耳の付け根と、あごの下をさわってみる。左右で違いがないかを見る。
どれも数秒で終わります。うちは、体を拭くついでにやっています。
それと、毎朝のあの時間です。
ケージの掃除が終わったあと、ケージの前に座って、2匹がごはんを食べる姿をじっと眺める時間があります。うちのいちばん好きな時間です。掃除のためでも、健康チェックのためでもありません。ただ見ているだけです。
ごまおのきくらげ
その時間に、気づいたことがあります。
ルルとごまおで、耳の質がぜんぜん違う。
ごまおの耳は、ふちが折れて波打っています。厚みがあって、内側にくるんと巻いている。ペレットをかじる振動で、その耳が小さく揺れます。

揺れているのを見ていたら、きくらげに見えてきました。
ルルの耳は、平らで薄い。しわも波もなくて、頭にぺたっと沿っています。

きくらげの隣に置くと完全に浮きます。あちらは花びらです。

その日、思わずインスタに書きました。
ごまおのきくらげ、もう収穫できるんじゃないかな

ニョッキというパスタの形にも似ているんです。でも黒いので、やっぱりきくらげだと思います。

同じ種類の、同じ部位です。それでこれだけ違います。
念のために書いておきます。耳の形や厚みは、その子その子で違います。見るのは、よその子との違いではありません。その子の左右の差と、前と変わっていないかどうかです。
よかったら、おうちの子の耳も見てみてください。掃除ではなく、観察のほうです。
思っていたより、変な形をしているかもしれません。
おことわり
この記事は、わたしが自分で調べた結果をまとめたものです。獣医ではありません。
正しいとも、間違っているとも言えません。参考までになればうれしいです。
耳掃除をするかしないかは、その子の状態で変わります。気になることがあったら、掃除より先に、モルモットを診てくれる病院へ相談してください。それがいちばん早いです。
調べたところ
- フロリダ大学 獣医病院「How to Care for Your Pet Guinea Pig」
smallanimal.vethospital.ufl.edu - MSD獣医マニュアル(モルモットの項)
msdvetmanual.com
このほか、獣医向けの耳の解説(dvm360)と、耳の薬による障害についての臨床解説(VIN)を参考にしました。
動いているルルとごまおは、YouTubeとTikTokにいます。耳をかいているところも、たまに映っています。
※イラスト・一部の画像はAIで生成しています。写真は実際のルルとごまおです。


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